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イラストで学ぶ

放射線の利用

放射線の利用(全体)

レントゲン写真

医療での利用
放射線の一種であるX線は、私たちの体の中にある骨や血液(水)で吸収され、それ以外は通り抜けることができます。レントゲン写真やCT検査では、体の中を通り抜けたX線を写真に感光させることで、骨折や出血の状況を確認しています。
検査の中には、放射性物質を使ったものもあります。PET検査では、「がん」が成長するために必要とするブドウ糖に放射性物質を結合させて、がん細胞を取り込ませることで、放射性物質から出てくる放射線を手がかりにして、「がん」の場所を特定します。

また、放射線は検査だけでなく、「がん」の治療や注射器などの医療器具の滅菌にも利用されています。

タイヤ

工業での利用
ゴムやプラスチックは高分子と呼ばれ、放射線をあてると網目のように結びつきを強める性質があります。この性質を利用して、タイヤや水泳用のビート板などがつくられています。
放射線が透過する量の変化を測定することで、紙やラップフィルムなどの材料の厚さ、飛行機のタービンのひび割れ、ロケット燃料の量、トラックの積み荷などを調べることができます。

最近では、パソコンなどに入っている半導体の製造にも、放射線が利用されています。

ジャガイモ

農業での利用
植物に放射線をあてると、色や形が変わった花ができたり、病気や寒さに強いお米やくだものができたりします。ジャガイモに放射線をあてると、芽が出ることを止めることができるため、ジャガイモを長期間保存できるようになります。
沖縄県では、昔、ウリミバエという虫がゴーヤに卵をうみつけるため、ゴーヤが食べられなくなることが多かったのですが、放射線を利用することで今ではウリミバエを退治することができるようになりました。

弥生式土器

その他
放射性物質は、放射線を出して安定した物質に変化していきます。放射性物質の量が半分になる時間を「半減期」と言い、放射性物質の種類によって、この半減期は変わります。

炭素には、わずかながら放射性物質が含まれていて、その量を調べることで、その炭素がついていた土器を使用した時代がわかります。

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  放射線教育支援サイト“らでぃ”