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自由研究してみよう! 〜クリアボックス型霧箱実験
霧箱実験とは
放射線は、目で見ることはできません。音も、においもありません。直接見ることのできない放射線を、「霧」として見えるように工夫した実験が霧箱です。霧箱はみなさんの身の回りにあるものを利用して実験することができます。自由研究として霧箱実験に取り組んでみませんか?
霧箱の様子
・白い線が放射線によってできた「霧」です。
・放射線の種類によって、霧の太さや長さが異なります。
準備するもの
内容 | 購入先 | |
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風船とポンプ ・「ペンシルバルーン」と呼ばれる細長い風船(静電気が起きやすいもの)。 ・風船によっては静電気が起きにくいものがあります。 |
100円ショップ | |
容器 ・縦・横・高さが10cm程度の立方体(直方体でも可)。 ・「コレクションケース」「クリアボックス」など透明なケースを使用する。(乳白色の食品ケースは不可) |
100円ショップ | |
黒紙 ・画用紙程度の厚さ。 ・予め容器の底の大きさに合わせて切り取る。 |
100円ショップ | |
スポンジテープ ・すきまテープ(横幅15mm)。 |
100円ショップ | |
懐中電灯 ・9灯(または3灯)のLED懐中電灯。 |
100円ショップ | |
ラップフィルム ・1枚。 ・15cm×15cm(容器の大きさに合わせる)。 |
100円ショップ | |
輪ゴム ・1本。 ・ラップフィルムが容器から外れないように固定する。 |
100円ショップ | |
ペーパー(くもり止め) ・ティッシュペーパー、キッチンペーパーなど。 ・数枚。 |
100円ショップ | |
アルコールを入れるもの ・スポイト、プラコップ、たれ瓶、洗浄瓶など(PET素材などアルコールに弱いものは不可)。 |
100円ショップ | |
台(ドライアイスを置く) ・発泡トレー、紙皿など。 ・同じものを2枚 ・ドライアイスの熱がテーブルに伝わらないように2枚重ねる。 |
100円ショップ | |
ドライアイス ・ドライアイスを木槌などで砕き、ザルを使ってふるい、細かいドライアイスを作る。はじめから粉々になっているドライアイスや直方体ドライアイス(容器を乗せても水平を維持できる)が入手できればそのまま使用可能(保冷材や寒剤は不可)。 |
スーパーマーケットなど | |
アルコール ・無水エタノール(消毒用エタノールでの実験は難易度が高くなります)。 |
薬局 |
注)実験中はできるだけ、部屋の換気をよくすること。
つくりかた
1 | 黒紙を容器に合わせて切り取り、容器の中に入れる。 | |
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2 | 容器の内側(上部)にスポンジテープを貼る。 | |
3 | ラップフィルムを容器に合わせて切り取り、輪ゴムでフタをする。 フタができることを確認して、ラップフィルムは外しておく。(後ほど同じようにフタをする。) |
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4 | (容器への工作は中断して) コンクリートがむき出しになっている場所(空気の流れがなく、ほこりがたまりやすい場所)を探す。風船をペーパーでこすり静電気を起こして(静電気が起きると壁に自然と貼りつくようになる)、その場所に風船を10分程度放置しておく。 |
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5 | (10分後) スポンジテープと黒紙にアルコールをしみこませる。 (スポンジテープ、黒紙それぞれの全体が、アルコールで充分に濡れている状態にする。 10分程度放置した風船の空気を抜き、中心部分を3~5cm程度に切り取り、黒紙の上に乗せる。 ラップフィルムと輪ゴムでフタをする。(アルコールが蒸発して外に出ていかないようにすぐにフタをする。) |
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6 | 細かく砕いたドライアイスを、水平になるように台に盛り、その上に容器をのせる。 容器の底面がドライアイスに密着するように、容器をドライアイスに力いっぱい擦りつけるように置く。 |
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7 | 懐中電灯を横から照らして、容器の中を観察する。 |
なぜ放射線を霧として見ることができるの?
霧箱実験では霧の基となる水の代わりにアルコールを利用します。気温とドライアイスとの急激な温度差によって、「過飽和」と呼ばれるアルコールの霧ができやすい状態をつくります。
放射線が容器中でいろいろなもの(空気中の分子など)にぶつかると、それをきっかけに蒸発したアルコールが液体の粒「霧」となって集まり、放射線の通り道にそって霧の筋をつくります。
この筋を「放射線の飛跡」といいます。
実験のコツ
(1)くもり止め
・ラップフィルムをペーパーできれいにする代わりに、ドライヤーでラップフィルムを温める方法があります。
・フタをティッシュペーパーなどでこすり、静電気を起こすと、飛跡ができやすくなります。
(2)過飽和
・容器の底が水平でないと、過飽和領域を容器全体につくることができなくなります。
・容器の底にアルコールが液体のまま溜まると、アルコールを冷やす時間が長くなり、過飽和領域をつくるのに時間がかかります。
リンク(動画・プリント・イラストで学ぶ)
目で見ることができない「放射線」を「霧箱」を使って観察する実験映像。