宇宙空間に出ると、宇宙線という放射線に満ちています。宇宙線は、太陽や遠くの恒星からくるものや、超新星爆発によって飛び出した高エネルギーの原子などがあって、あらゆる元素の原子が高速で飛び交っています。宇宙空間は、地上の数十倍から数百倍も強い放射線だらけの世界です。
放射性物質の放射能は、時間とともに自然に弱まっていくという性質があります。たとえば、セシウム134は約2年(2.065年)ごとに、セシウム137は約30年(30.07年)ごとに、元の放射能の半分になります。この時間を「(物理的)半減期」といいます。「半減期」の2倍の時がたてば1/4に、3倍では1/8に放射能の強さは減っていきます。セシウム137の放射能が今の1/10になるのには約70年かかります。地殻に自然に含まれるカリウム40やウラン238などの放射性元素の場合は、「半減期」が数億年から数十億年以上と長いので、ほとんど減少しません。
私たちの身のまわりには不安定な原子が多く存在します。不安定な原子は、放射性核種と呼ばれ、余分なエネルギーを放射線の形で放出して安定な原子になろうとします。
放射線を出す物質を、放射性物質と呼びます。
宇宙は「ビッグバン」という大爆発で始まったとされていますが、最初から物質があったわけではありません。物質は宇宙の始まりからしばらくたって(約10万年後)生まれてきたので、それまであったのはエネルギーの高いものでした。物質ではないエネルギーの高いものとはなんでしょうか。それはエネルギーの高い「光」の一種と考えられています。つまり、「放射線」にほかなりません。宇宙の始まりは、実は「放射線」しかない世界だったのです。
アルファ線やベータ線は「光」の仲間ではないので、色はありません。「光」の仲間のガンマ線やX線にしても、目には見えないので色は感じられません。
あらゆる物質は原子でできていますが、原子は、原子核と、その周囲を取り巻く電子(群)でできています。その原子にエネルギーを与えて、電子を遠くへ飛び出させてしまうと、原子は不安定になって、元に戻ろうとします。近くにある電子を取り込んで安定しますが、そのときに余分なエネルギーを「光」のような形で出すのがX線です。エネルギーが高いので、物質を透過することができます。レントゲン線ともいって、医療の診断に利用されたり、空港の手荷物検査に利用されたりしています。
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