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放射線教育授業実践事例11:福島県いわき市立中央台北中学校

放射線教育授業実践事例11:福島県いわき市立中央台北中学校

 9月5日(水)福島県いわき明星大学のエネルギー環境教育研究会が行っている「防災エネルギー教育」にいわき市立中央台北中学校1年生約180名が参加した。
時間は9時から12時までの3時間。

①「震災によるいわきの現状と防災エネルギー教育」
②「放射線と霧箱実験」
③「次世代自動車を体験しよう」の3テーマの授業が行われた。
※但し、最後の③はここでは割愛する。
なお①と②の講師は同大学の東之弘氏と石川哲夫氏の2名が行った。

【震災によるいわきの現状と防災エネルギー教育】

 講義の内容は、
○昨年の3月11日に起こった東日本大震災による福島第一原子力発電事故の影響と1?4号機の現状と課題
○日本のエネルギー問題
○マスコミが報じる記事の真偽
○風評による福島の産業の被害
○正しい情報とは何か 等
 写真や図面、新聞記事等を使いながら、現実に何が起こっているかを中心に講義を行った。そして化石燃料の有限性と日本のエネルギー自給率、再生可能エネルギーの飛躍的な発展の必要性や省エネルギーの重要性を話し、最後に「これからのエネルギーをどうするかは君たちのような若い世代にかかっている」として講演を終えた。


<ホールに集まった180名>


<東氏による講義>

【放射線と霧箱実験】

 石川氏の講義の前に、東氏から参加生徒に対して「放射性物資」「放射能」「放射線」の3つの中でどれが怖いと思うかという質問を生徒に行った。ほとんどの生徒が「放射線」に対して挙手をしたが、東氏は「この3つの中で、大事なのは放射性物質です。これがなければ放射能も、放射線も存在しないわけですから。」と言ったうえで、この3つの言葉の意味の違いを解説した。
 その後、石川氏が放射線基礎知識の講義をした。内容は、自然放射線の存在、放射線の種類と特徴、遮蔽、人体への影響等をパワーポイントで解説を行い、原子力発電所が万が一事故を起こした場合の緊急時対応として、次の4つの行動を示した。
 ①携帯ラジオ等で確実な情報を入手する。
 ②放射線源から遠ざかる。
 ③建物の中に入る。(できればコンクリートでできたもの)
 ④手洗い、うがい、マスクの励行。


<石川氏による講義>


<非常時の対応>

 最後に大型霧箱を使って、①何も入れない場合、②線源(ユークセン石)をいれた場合、③ラドンガスを入れた場合の3パターンをそれぞれ180人の生徒に順番に見てもらった。特に最後に見たラドンガスを注入した時に現れるたくさんの放射線の飛跡に生徒たちは驚いていた。


<霧箱を覗く生徒たち>


<ラドンガスによる放射線の飛跡>

東氏からの放射線教育についてのコメント

「我々が行っている放射線教育は、小学校では<放射性物質、放射線、放射能>の区別をしっかり付けさせようと言うのが目的です。中学校では、放射線の種類や、防護について学ぶと良いかと考えています。文部科学省が作成した副読本全部を小学校でマスターするのは、学校の先生も不安ですので、各学年にあわせて学習目的を絞り込み、地域全体でコンセンサスを得た放射線教育をすることを目指したいと思います。」

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