平成27年度 成果発表会に参加して
日時:2016年3月13日(日)9:00〜15:00
場所:東京大学工学部11号館講堂
発表形式:発表10分、質疑10分
はじめに、特定非営利活動法人研究実験施設・環境安全教育会(REHSE)の大島義人理事長から挨拶があった。(REHSEについては http://www.rehse2007.com/ を参照ください)本発表会は今回で3回目、9高校が参加した。高校生が若い感性を持ち、研究に興味を持っていただくための自主研究活動の場として開催しており、今後もこの活動を続けていくとのこと。本「らでぃ」サイトでは、9件の成果発表のうち、放射線関連のものは4件について、以下にその概要を述べる。
○福島県立福島高等学校(福島) スーパーサイエンス部放射線班
福島県内外の高校生個人線量調査:優秀賞受賞
2011年の3.11事故後から始めた放射線班の研究が、2014年から、個人線量計D-シャトルの供給をうけ、多数使用して、国内外の高校生の個人線量の調査を通して福島の現状を改善できないかをという課題に取り組んだ国際的な研究である。ノイズの影響、誤差等も含めて、放射線はデータの取り扱いが難しいため、様々な工夫を行っていた。
○エクセラン高等学校(長野) 環境科学コース班
「福島原発事故以降、長野県での放射能の影響」 〜なぜ野生きのこ・山菜・野生動物肉・焼却灰について放射線が検出されるのか〜:最優秀賞受賞
Csの134Cs(半減期2年)と137Cs(半減期30年)の半減期の差から、チエルノブイリ産と福島産とを区別できることを調べて確認している。Csの半減期が上手く活用されており、データをわかりやすく紹介されていた。
○埼玉県立不動岡高等学校 SSC放射能班
[風評被害とどう向き合うか] – 福島原発事故の現状と今後 –
風評被害の分類を行い、理性によるものと、感情によるものがあることを調べた。風評被害をなくすために、「ア.わたしができること、 イ.学校でできること、ウ.行政のできること、エ.地元業者ができること、 オ.農業従事者ができること、カ.宿泊施設ができること」などについて考えた結果をもとに、各自・各グループが相談し、決定するような場をつくっていくことが必要と説明されていた。
○東京都立戸山高等学校 放射線班
「遮蔽物の形状による放射線防護」 – 宇宙開発に向けてのβ線の遮蔽 –
ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章氏に電話をかけ、「宇宙線は、β線に性質が似ている」と教えていただいたことから、研究をスタートさせている。3Dプリンターでモデル物質を作製して使用し、遮蔽を調べている。防護のためには2次放射線の影響をさけるのが重要との説明だった。
※本成果発表会での様子や他の表彰校についてはhttp://www.rehse2007.com/KoukouseishienH27Happyoukai.htmlを参照ください
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