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放射線授業実践報告会(中学版)

 平成26年6月28日(土)、虎ノ門琴平タワー会議室において、日本原子力産業協会が主催する表記の報告会が開催され、放射線授業に取り組まれている東京と福島の3名の先生による実践報告、放射線の専門家による特別講演、そして会場との意見交換が実施されました。

■実践報告

●高田 太樹 先生(東京都中野区立南中野中学校 理科教諭)

「放射線授業実践紹介」

 

 「東京のごく一般的な教員」と前置きされながらも、福島での宿泊研修に参加したり、そこで知り得た福島の現状を授業の題材として取り上げたりと、生徒自身が考えて行動できるようになる授業に精いっぱい取り組まれている姿勢が伝わってきました。一方で、放射線のリスクや便益について、伝える側の個人的な考えが生徒の思考にも影響を与えるという教育の難しさも痛感されたとのことで、放射線授業に取り組む方への注意を促されていました。

●園部 毅 先生(福島県郡山市立郡山第一中学校 理科教諭)

「思考力、判断力、表現力の育成を目指した放射線の授業」

 

 前任校で平成24年度、25年度に放射線の授業を実施。その間に、ベラルーシの放射線教育の現場も視察されました。24年度に実施した授業は座学の比が高く、生徒の取り組み意欲、知識の定着がよくなかったので、ベラルーシ視察の経験をもとに25年度の授業を工夫。他単元と絡めたり、生徒たちが仮説をたてて実験する課題を与えたりしたところ、生徒の学習意欲が向上し、中には「将来は福島のために貢献したい」との意志を表明した生徒もいたそうです。


●児玉 剛明 先生(福島県郡山市教育委員会学校教育部 学校教育課 指導主事)

「平成24,25年度中学校における放射線授業実践紹介」

 

 学習指導要領の改訂を受け、震災前から放射線の授業に取り組まれていたそうです。その後、異動した前任校でも24年度、25年度と放射線の授業を実践。地元で除染活動が展開されていたので、その模擬実験を実施して効果を確認したり、25年度には養護教諭と一緒に実施して人体への影響に関する生徒の理解を向上させたりしたそうです。教科・分野間の連携の必要性とともに、地域の環境や事情による授業内容のニーズの違いを考慮することの重要性を痛感したとのことです。


■特別講演

●飯本 武志 先生(東京大学環境安全本部 准教授)

「放射線のはなし〜学校教育における知識の肝」

 

 国際的に共有されているデータでも、その解釈の仕方によって発信されるメッセージが変わることや、根拠となる情報が追加されれば環境放射線量の値も変わりうること、放射線防護に関する基準値設定の考え方等について解説いただきました。普段何気なく使っている図や数値について改めて意味を確認したと共に、数値に対する値ごろ感が重要であると再認識しました。

■意見交換
 主催者である日本原子力産業協会の木藤啓子氏の司会の下、実践報告および講演を行った4名の先生方と会場との意見交換が実施されました。
 会場にも実戦経験豊富な参加者が多数おられ、放射線授業の目的や必要性、授業の取組み体制、授業で外せないポイント、臨場感ある指導方法などについて、議論を深めました。


                               以上

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