練馬区立中村中学校では今年度、3年生理科「科学技術と人間」の単元で、新学習指導要領の内容に沿って「放射線の性質と利用」を扱った。2011年12月13日に、東京都中学校理科教育研究会の公開授業として実施され、多くの教育関係者が見学に訪れた。
指導した永尾啓悟教諭は前年11月にも、3年生の同単元で放射線の授業を実施している。震災と原発事故を経た今回の実践では、事前のアンケートで生徒の興味関心を把握し、指導内容を再検討した。単元は全6時間計画で、終わりの2時間を放射線の指導にあてた。
1時間目は、生活を支える電力の重要性に目を向けさせ、エネルギーのベストミックスの一部として原子力が推進されてきた経緯を確認。世論調査の結果を比較し、原発事故を契機に国民の原子力への考え方が変化していることを読み取った。
後半は、簡易放射線測定器「はかるくん」を使った実験で放射線の基本的な性質を学んだ。生徒たちはグループに分かれて機器を操作しながら、放射線源から離れるほど数値が下がることや、金属などの壁による遮蔽の効果を確かめた。
【写真下】
2時間目の冒頭では、前時後半の実験を振り返りながら、放射線防護の三原則(線源から距離を取る、遮蔽する、受ける時間を短くする)を学んだ。
続いて、生徒へのアンケートで関心の高かった「放射線から身を守る方法」を考えるため、除染の実験を行った。土の上にまいたカリ肥料を放射性物質に見立て、これまでに学んだ放射線の性質を想起しながら除染方法を検討。
表土を削って新しい土を加えたり、水を入れて土を洗ったりする方法の他、土の上に薄い銅板を敷き詰めたグループもあった。
学習のまとめとして永尾教諭は、「原子力だけでなく、どんなものにもリスクと利益がある。両面を正当に評価することが大切。社会のさまざまなことを自ら判断して意思決定するとき、理科の授業で学んだことをぜひ生かしてほしい」と生徒たちに呼びかけた。
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